陶芸作家 クリハラナミ(33)=飯塚市

 

 

軽やかに多彩な活動

 

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The individuality(2015年、個人蔵)

 青や白、淡い緑や黄色、桃色。丸や三角、取りや家の形のブローチやお皿。7日まで、画廊カンヴァス(直方市殿町)で開催中のクリハラナミさんの作陶展会場には、子どものころに、ポケットの中で、誰にも気づかれないように大事にしていた自分だけの小さな宝物のように、一点一点がそれぞれ違った輝きを放つ、ぬくもりのある小さな作品が並んでいた。

 小学生のころから絵を習っており、絵に関係する仕事をしたい、と漠然と思っていたクリハラさん。田川市美術館が開館記念で開催した展覧会の関連で、デザイナーの松永真さんが小学校に来たことがあり、デザインの世界を知ることになった。その影響もあり、大分県立芸術文化短期大学で、自分の手で作ることができるデザインである工芸を学ぶことにした。

 作品を作るときに、大事にしていることは何かと尋ねると、「色は大事ですね」と答えてくれた。大学時代は、青の釉薬を研究し、自分の納得のいく青を出すために釉薬を自ら調合していたそうだ。また、色をよりきれいに見せるために、土の種類や焼く温度にも気を使う。大学卒業後は、先生の勧めで、北九州市の門司港にある廃校を活用したアートスペースで制作、発表をしていた。窯元に弟子入りし、自分の窯を開くという陶芸家の一般的なスタイルではなく、もっといろんな人たちと関わり合いながら、陶芸を身近に感じてもらいたいと次第に思い始める。

 現在は、自宅と窯のある田川市の実家を往復しながら制作をしている。3児の母でもあり、陶芸とは別に、会社勤めをしていた時期もあったそうだ。昨春、仕事を辞め、以前から活動していた「Ripple.」という名前で、陶製の器や小物の制作・販売、子どもたちや親子を対象にした、出張陶芸教室などを本格的にするようになった。

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ろくろ教室で陶芸を教えるクリハラナミさん

 また、同時期に、子育て中の親世代をターゲットにしたフリーペーパー「drops」を年に3~4回発行する。子育てを経験するクリハラさんが知りたい情報を自ら飛び回って取材してできるフリーペーパーは、筑豊で次第に反響が広がっている。さまざまなことをパワフルに、それでいて軽やかにこなしていく姿は、筑豊の母親やこれから母親になる女性たちの力になることだろう。

 クリハラさんの作品は、器やブローチなど、実用的なものが多かったが、個展会場に、これまでのものとは少し違った作品があった。白い木枠に陶製の鳥が1羽ずつ並べられている。取りの形は全て一緒のようで、1羽ずつ違う。色も濃い青や薄い緑、白など、微妙に全部違っている。涼しげな壁掛けの作品だった。

 「だんだん青だけでなく、いろんな色を取り入れるようになってきた。今年は実用的なものだけではなくて、飾るものを作りたい。ずっと同じことをしていてもね。変化したいタイプです」

 クリハラさんの軽やかな活動は、青から、緑、黄色、桃色と、「色」がどんどん広がっていくように、今後もさらに広がり続ける。

西日本新聞筑豊版2015年2月7日掲載

(田川市美術館・髙木洋佳)

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